自然と結びつき、
命と向き合う場に。
“おおいなる命(ios)”と“哲学(philosophy)”の意味を持つ「ビオソフィ」。人と自然との結びつきなど、あらゆる命との向き合いを学び、次世代にビオソフィー(結い学)を引き継いでいけるような体系づくりを目指し誕生しました。
郷田美紀子さんが主宰する「ビオソフィフードスクール 薬膳ふうど食の学校」は、その活動の一つ。命をつなぐ本物の食、五味調和の薬膳を学ぶ場となっています。
また、「ビオソフィファーミングスクール」では、自然の生態系を守り共生しながら農業を行う「自然農」や自給自足の生活の実践を行っています。
父、實さんの想いを受け継ぐ
綾の「賢治の学校」。
「ビオソフィ」の源流は郷田美紀子さんのお父様であり、元綾町長だった實さんにあります。今から20年前、シュタイナー教育で有名な「東京けんじの学校」の故・鳥山敏子さんと自然を守り続けた實さんが未来の子供たちへの教育の場としてつくったのがここ綾町の「賢治の学校」です。
實さんは以前、馬小屋だった建物を改修し学びの場として開放しました。宿泊所も兼ね備えているので、夏は自然農体験のために訪れる小学生などで賑わいを見せます。有機農業にいち早く取り組み自然と人との共生を目指してきたここ綾町で、自然の営みに沿った自然農を体験することで、子ども達の健やかな心と体が育まれると言います。今では、食や自然農や自給自足の生活が実践できる場となっています。
「食べものは、何よりの薬」
その考え方こそが薬膳です。
「薬膳」と聞くと難しく捉えがちですが「食べものは、何よりの薬」。
健康を維持するために、体の状態、季節の食材、風土などを考え合わせて料理したもの、それが薬膳です。月に2回開催される「薬膳ふうど食の学校」は、
座学を踏まえながら簡単な調理法を用いて実際にレシピを作っていく実践の場です。
郷田さんの人柄にひかれて講座は毎回大人気です。
風土に合った食をとることが大切です。
「美味しいものがあふれている時代、美味しければ何でも良いわけではなく、生まれ育った風土をもとに食事を摂らなければなりません」。郷田さんの座学はこんなお話からスタートします。健康への意識が高まっている現代、体に良いからと生野菜を積極的に食べるよう心がけている人も多いようですが、この生野菜が私たち日本人にとっては落とし穴になっている可能性も…。生野菜や果物は体を冷やす働きがあることから、気温が50℃にも達する熱帯に暮らす人にとっては意味があるものの、高湿度の地に住む私たちが体を冷やす食は避けなければなりません。
地域ごとに違う食文化。
乾燥地帯の人々にとってヨーグルトは大切な食べものですが、日本にはその昔、ヨーグルトという食べものはありませんでした。古来より日本人は、体に必要な乳酸菌は漬け物などから摂っていたのです。また、お肉ブームで、生肉を食べることが珍しくなくなった現在ですが、郷田さんはここにも疑問を呈します。「極寒の地に住むイヌイットにとって体を燃やしてくれる生肉は、生きて行くために必然の食だといいます。しかし、地域や住む世界によって食は変わります。それが風土に合った食事を摂るということです。身体が不調を訴えている時、その答えは私たちの足下、つまり風土と食の関係にあると思います」。
スクール講座の風景
白菜キムチづくりに挑戦! (花菜の森から 2017年4月号掲載)
甘酒入りの白菜キムチは「酸・苦・甘・辛・鹹」の五味が調和した薬膳の基本料理。キムチは野菜が不足しがちな冬にビタミンA、B、Cをはじめ、
ニンニクや生姜などの副材料持つさまざまな栄養成分の供給源にもなります。今回ご紹介するレシピは甘酒も使用しているので、酵素もミネラルも豊富に摂ることができます。
(作り方は花菜の森からのバックナンバー2017年4月号VOL.55をご覧ください)
塩水に一晩漬けて下ごしらえをした白菜。
アミノ酸たっぷりの甘酒で健康アップ!
キムチづくりも最終段階。キムチ糊を白菜に良く塗り付けて交互に重ねていきます。
いりこと昆布で蓋をするようにのせて1週間ほど寝かせたら完成!作りたてでも美味し〜い!
夏野菜の薬膳 (花菜の森から 2017年9月号掲載)
暑い時期は心臓に負担がかかります。そんな時は「苦」材を中心に摂るのがおすすめ。かといって「苦」材を多く摂りすぎると今度は腸の働きを弱めてしまいます。生姜やミョウガなどの「辛」を上手に取り入れ、腸を労ってあげることもお忘れなく。また、冷たいものや水分を摂りすぎると腎臓に負担をかけてしまいます。腎を助けるためにもお味噌汁などで「鹹」を補うことも大切です。
(作り方は花菜の森からのバックナンバー2017年9月号VOL.60をご覧ください)
きゅうりともずくの炒めもの。
豆腐の香味あんかけ 。
ナスといもがらの浅漬け。
ニラの醤油和え。
薬膳カレーづくり (花菜の森から 2018年1月号掲載)
冷たいものを摂りすぎた時期や、冷えが溜まって血流が悪いときにオススメなのが「薬膳カレー」です。胃腸に負担がかかっているときに、「辛」のスパイスやにんにく、生姜が身体を温めてくれます。またお肉の代わりに「甘」の高野豆腐を使い、隠し味に「鹹」のサバの水煮缶を入れて深いコクを出すなど工夫されています。肝臓を労うために酢のものも併せて召し上がるとバランスがとれます。
(作り方は花菜の森からのバックナンバー2018年1月号VOL.64をご覧ください)
旬なものをはじめ新鮮な野菜をたっぷりと♪
レシピ以上のにんにくをどっさり使用して旨味アップ!
生姜も入れて身体を芯から暖めます!
ミックススパイスやサバの水煮缶を入れてコトコト…
「辛」の食材で胃腸ケア (花菜の森から 2018年8月号掲載)
暑くなってくると、果物や冷たい飲み物ばかりが欲しくなって、体を冷やしてしまいがち。また、暑さによる食欲不振も重なると胃腸が弱ってしまい、夏バテにつながります。アイスコーヒーやビールなど、夏に摂ることの多い「苦」材には、内蔵を温めてくれる「辛」材を組み合わせることをオススメしています。また、腸と肺は密接な関係があることから、肺の動きに関係する「酸」を摂ることも大切です。
(作り方は花菜の森からのバックナンバー2018年8月号VOL.71をご覧ください)
キャベツの豆乳スープ
トマトのドライカレー
シソキムチ
キャベツと生姜の酢のもの