花菜

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今月の薬膳

夏、真っ盛り!暑い日が続きますね。
連日の暑さで体が疲れやすくなっている分、心臓は大忙し。
今月は、オーバーワーク気味の体を労る薬膳を、
宮崎県の郷土料理「冷や汁」に学びました。

太陽の光が降り注ぐ南国、宮崎。
暑い夏を乗り切るための先人の知恵の一つが「冷や汁」です。
冷や汁とは、「鹹」のイリコや魚のすり身、味噌をべースに「辛」のシソや生姜、
「苦」のミョウガ、「甘」のキュウリなどの夏野菜などを加えた滋養たっぷりの宮崎の郷土料理。
家庭ごとに材料やつくり方など、多少の違いはあるものの
夏の体に元気をくれる材料を使うという基本は変わりません。
郷田家の「冷や汁」は、夏野菜を多彩に使用するのが特長です。
今回は、なんと13 種類!五味調和では、少しずつでもバランス良く摂るのが理想的だそうです。
中でもこの時期に意識して摂りたいのは「苦」「辛」「鹹」。
「苦」はオーバーワーク気味の心臓の働きを調整してくれ、
「鹹」は「腎」の働きに深く関係しています。
夏場は、アイスコーヒーやビールなどの冷たいものの摂り過ぎてしまうので、
余分な水分をコントロールしてくれる「腎」の働きがポイントになります。
また、「辛」は冷たいものの摂り過ぎで溜まった冷えを温めて、疲れた腸を回復させる働きがあります。

郷田家の彩り冷や汁

13種類の野菜で五味調和をバランス良く。

トッピング用夏野菜

トッピング用夏野菜

材料(4人分)

キュウリ、玉ネギ、紫キャベツ、オクラ、生姜、大葉、ミニトマト、ナス、黄色パプリカ、ホウレンソウ、人参、赤パプリカ、椎茸 それぞれ適宜

作り方

①キュウリ、ミニトマトはスライスする。玉ネギはスライスして水にさらした後、水気を切っておく。生姜はスライスして千切りにする。大葉は千切りにする。
②紫キャベツ、オクラは湯がいてからスライスする。
③黄色パプリカ、赤パプリカ、人参、ナスはスライスしてから湯がく。
④ホウレンソウは適度な大きさに切ってから湯がく。
⑤椎茸はスライスする。

冷や汁

冷や汁

材料(4人分)

イリコ、白胡麻 それぞれ適宜
昆布出汁…500cc、豆腐…半丁(味噌と同量ぐらいを目安に)、味噌…60g

作り方

①豆腐はつぶしておく。
②イリコと白胡麻をそれぞれ炒る。すり鉢に炒ったイリコと白胡麻を入れて擦る。
③「②」に味噌と「①」を加えて擦り、昆布出しで溶く。
④冷や汁はすり鉢のままでも、大き目の器に移し替えてもよい。ご飯をよそって夏野菜をトッピングして、冷や汁をかけていただく。

梅シロップジュース

やさしい甘さの夏バテ解消ドリンク。

梅シロップジュース

材料

梅の実、きび砂糖 それぞれ適宜

作り方

①梅の実に爪楊枝でポツポツ穴をあける。
②水に「①」を入れて炊き、湯温が50℃になったらお湯を捨てる。お湯を捨てる時は、梅の実が痛まないように気をつける。これを3 度繰り返す。
③4度目は水に梅の実ときび砂糖を加えて炊く。梅の実が甘くなったら出来上がり。

薬膳コラム

分量表示の「適宜」には理由が…。
郷田さんのレシピには「適宜」という分量表示が多いと感じませんか?実は、これには理由があるそうです。表示分量に頼りがちになると、自分なりの味の工夫がなくなってしまいがちです。「適宜」は自分で味のイメージを膨らませ、考える機会をつくるためなのです。 塩分や糖質など食事制限がある方も、たし算や引き算をしながら、味のコントロールをしてくださいね。
郷田 美紀子
郷田 美紀子
■プロフィール
ごうだ みきこ/1948年生まれ。 家業である「郷田薬局」の管理薬剤師、百姓。薬局の隣に設けた「薬膳茶房オーガニックごうだ」で病気を薬だけではなく、「五味調和」の考え方を用いた食事で治すことを実践。2009年には宿泊施設「綾ビオスヴィレッジごうだ」をオープン。