花菜

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今月の薬膳

7月は梅雨と夏、両方の季節を持っています。
全国的に梅雨が明けるのは中旬頃なので、
暑くなっても体の中にはまだ湿気が残っている状態。
今月は、梅雨の終わりから夏にかけておすすめしたい薬膳をご紹介します。

夏は、心臓や小腸と関係が深い「苦」が痛みやすい季節です。
暑い中で少し体を動かすだけでも心臓の鼓動が早くなるのは、それだけ負担がかかっているからでしょう。
7月の半ばまではまだ梅雨の時期でもあることから、引き続き体の中に溜まった湿度を「辛」で飛ばしてあげることも大切です。
体に水があふれるように溜まった状態「湿邪」になると、免疫系や胃腸、自律神経などに影響が出てきます。
夏になっても体が冷えて、むくみやすいなどの症状がある方は、梅雨の名残があるのかもしれませんね。
梅雨の終わりかけには、柚子胡椒や新玉ネギを使ったピリ辛の料理も食卓に一品欲しいところです。
同時に気温が上がり、汗をかきやすくなると一生懸命、血液をきれいにしようとする肝の働きに関わる「酸」にも負担がかかってきます。
肝が喜ぶ酢のものや梅干し、甘夏などの柑橘系の果実などで「酸」のものを摂るように心がけてください。
今月は、今が旬のトマトをタップリと使った薬膳をご紹介します。
トマトは「酸」と「甘」の両方を備えた優れた食材なので、さまざまに活用してみてくださいね。

トマトたっぷり!ピーフシチュー

トマトたっぷり!ピーフシチュー

トマトのやさしい酸味と甘味。柚子胡椒が隠し味!

材料

トマト、トマトピューレ、トマトジュース、牛肉(今回は綾牛を使用)、ニンニク、ホウレン草、新玉ネギ、きび砂糖、醤油、柚子胡椒、小麦粉、菜種油(炒め油) それぞれ適宜

作り方

①ニンニクと新玉ネギはスライスする。牛肉、ホウレン草は食べやすい大きさに切る。
②炒め油でニンニクのスライスを炒めて香りが立ってきたら、新玉ネギと牛肉を加えて炒めて小麦粉を振りかける。
③「②」にトマト、トマトピューレ、トマトジュース、ホウレン草、きび砂糖、醤油を入れて煮込み最後に柚子胡椒を加える。

トマトと新玉ネギの酢のもの

トマトと新玉ネギの酢のもの

「鹹」「酸」「甘」をバランス良く。

材料

ミニトマト、新玉ネギ、塩こうじ、甘酒、きび砂糖 それぞれ適宜

作り方

①新玉ネギはスライスする。ミニトマトは半分に切る。
②スライスした新玉ネギを塩こうじでもむ。
③新玉ネギは塩こうじでもんで、そのまま絞らずにトマト、甘酒、きび酢とあえる。

塩トマトと豚肉の炒めもの

塩トマトと豚肉の炒めもの

一番絞りのお茶の油を使った贅沢な一品。

材料

塩トマト(作り方は下記に紹介)、豚肉のスライス、新玉ネギ、小ネギ、ニンニク、お茶の油(炒め油)、スパイス それぞれ適宜

作り方

①ニンニクはスライスする。豚肉のスライスは食べやすい大きさに切る。新玉ネギは厚めに切る。小ネギは小口切りにする。
②ニンニクを炒め油で炒めて、香りが出たら新玉ネギ、豚肉を炒めて、塩トマトを加えて炒める。火が通ったらスパイス(お好みで)で味をつける。塩トマトの塩味で料理に味がつくので、それを勘案してスパイスを調整する。
③小ネギを散らして出来上がり。

塩トマトの作り方

作り置きしておけばさまざまな料理に活躍。

材料

ミニトマト、海塩

作り方

①ミニトマトは、半分に切って海塩にまぶす。
②「①」をオーブントースターで約30分焼く。さらにカラカラの状態に乾燥させたい場合は、天日干しにすると良い。

薬膳コラム

分量表示の「適宜」には理由が…。
郷田さんのレシピには「適宜」という分量表示が多いと感じませんか?実は、これには理由があるそうです。表示分量に頼りがちになると、自分なりの味の工夫がなくなってしまいがちです。「適宜」は自分で味のイメージを膨らませ、考える機会をつくるためなのです。 塩分や糖質など食事制限がある方も、たし算や引き算をしながら、味のコントロールをしてくださいね。
郷田 美紀子
郷田 美紀子
■プロフィール
ごうだ みきこ/1948年生まれ。 家業である「郷田薬局」の管理薬剤師、百姓。薬局の隣に設けた「薬膳茶房オーガニックごうだ」で病気を薬だけではなく、「五味調和」の考え方を用いた食事で治すことを実践。2009年には宿泊施設「綾ビオスヴィレッジごうだ」をオープン。