花菜

マイページ

今月の薬膳

晩秋。朝夕の冷え込みに、秋の深まりを感じます。
前号でもご紹介しましたが、この時期は肺や喉、
気管支などが痛みやすく長引くと、冬の健康に影響します。
しのぎやすい季節ですが、冷えの対策はしっかりとしたいものですね。

照葉樹林の町、綾町の山々は変わらずに深い緑を湛えていますが、
「オーガニック郷田」の庭は紅葉に彩られ鮮やかな秋の佇まい。
自然界は、着々と次の季節の準備を始めているようです。
昼と夜の温度変化が激しいこの時期は、油断していると肺や大腸、鼻、
皮膚のトラブルから風邪や胃腸の不調などをもたらすことがあります。
冷えは、内臓機能や免疫力を低下させてしまい不調を長引かせてしまうので、食事や服装などに気をつけて過ごしてください。
五味調和では、秋は「辛」にあたります。 「辛」の食材は生姜やネギ、玉ネギ、ニンニク、柚子胡椒など。
この「辛」の働きを助けてくれるのが、砂糖や旬を迎えているカボチャやブドウなどの「甘」です。
また、寒くなると腎が衰えるので昆布やイリコなどの「鹹」を意識して摂ることも大切。
豚肉は「鹹」と「甘」の両方の性格を持つお肉なので、寒い時期の肉料理におすすめです。

カボチャのホール煮

カボチャのホール煮

カボチャを丸ごといただくアイデア料理。お子様を囲むパーティーでも喜ばれそう。

材料

小さいサイズのカボチャ、豚肉(スライス)、玉ネギ、大根の葉(小松菜やほうれん草でも可)、昆布(出し)、薄口醤油、オールスパイス、海塩、ココナッツオイル、片栗粉 それぞれ適宜

作り方

①カボチャは良く洗って横に半分に切り、種を取っておく。
②圧力鍋にカボチャを入れ、半分つかるくらいの水を注いで昆布を入れる。薄口醤油で味付けをして点火する。
③圧力鍋がシュッーと鳴り出して7分経ったら火を止める。蓋を開けてカボチャが冷めたら取り出す。鍋に残ったスープは、後述するあんと「野菜スープ」用に残しておく。
④玉ネギと豚肉は食べやすい大きさに切っておく。
⑤フライパンにココナッツオイルをひいて、豚肉と「④」を炒めてオールスパイスと海塩で味付けをする。
⑥「⑤」に「③」のスープを加える。「野菜スープ」に使用する量は取り分けておく。
⑦適度な長さに切った大根の葉を加えて煮込み、野菜が柔らかくなったら水で溶いた片栗粉を加えてとろみがついたら火を止める。

豚シャブの香味野菜添え

豚シャブの香味野菜添え

「鹹」「甘」、両方の性格を持つ豚肉は冬の肉料理におすすめ。

材料

「カボチャのホール煮」で取り分けておいたスープ。豚肉(スライス)、玉ネギ、太ネギ、ニンジン それぞれ適宜

作り方

①玉ネギは薄くスライスする。太ネギは白髪ネギにする。ニンジンは細切りにして、ゆがいておく。
②「カボチャのホール煮」のスープを鍋に移して沸騰させ豚肉をシャブシャブにする。残ったスープは灰汁を取って「野菜スープ」用に置いておく。
③「①」と「②」を一緒に盛りつける。

旨味たっぷりの野菜スープ

旨味たっぷりの野菜スープ

栄養たっぷり!「カボチャのホール煮」で出たスープを再利用した時短料理。

材料

「豚シャブ」で使ったスープ、太ネギの葉 それぞれ適宜

作り方

①太ネギの葉は細く輪切りにしておく。
②スープを沸騰させ、「①」のネギを散らす。

山ブドウジュース

山ブドウジュース

この季節にしか味わえない、山ブドウ独特の甘酸っぱさが格別!

材料

山ブドウ、きび砂糖(きび砂糖の量は、山ブトウの果汁の半分が目安)

作り方

①山ブドウを房ごと流水で洗い、ばらして鍋に入れる。沸騰させないように弱火でコトコトと煮ながら木べらなどで潰して種を取り除く。山ブドウから水分が出てきたら火を止めて冷ます。
②濾し布に「①」を入れて搾る。
③3. 果汁の半分の量のきび砂糖を入れて完成。

薬膳コラム

分量表示の「適宜」には理由が…。
郷田さんのレシピには「適宜」という分量表示が多いと感じませんか?実は、これには理由があるそうです。表示分量に頼りがちになると、自分なりの味の工夫がなくなってしまいがちです。「適宜」は自分で味のイメージを膨らませ、考える機会をつくるためなのです。 塩分や糖質など食事制限がある方も、たし算や引き算をしながら、味のコントロールをしてくださいね。
郷田 美紀子
郷田 美紀子
■プロフィール
ごうだ みきこ/1948年生まれ。 家業である「郷田薬局」の管理薬剤師、百姓。薬局の隣に設けた「薬膳茶房オーガニックごうだ」で病気を薬だけではなく、「五味調和」の考え方を用いた食事で治すことを実践。2009年には宿泊施設「綾ビオスヴィレッジごうだ」をオープン。