花菜

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今月の薬膳

暦の上では二月四日は立春。春はそこまで来ているのでしょうが、実際は底冷えがするぐらいに寒いため、
更に着物を重ねて着ることから如月の他に衣更着(きさらぎ)とも言われます。
春を元気に迎えるためには、冬の過ごし方が大切。五味調和のバランスの取れた食事で不調を解消してください。
 冬は、「腎」を司る「鹹」が痛みやすくなることは前月も紹介しましたね。
底冷えのするこの時期は、寒さからくる冷えで「腎」に関係のある免疫力が低下し、
ホルモンバランスが崩れたり、腎機能がトラブルを起こしたりと思いがけない疾患に発展するケースも少なくありません。
 「腎」を痛める“冷え”を取り、体を温めて血流を良くしてくれるのが大根や生姜、ネギ、香辛料などの「辛」です。
「辛」は、大腸や鼻、皮膚のコンディションに大きく関わっています。
鼻や皮膚の健康を左右しているのは腸内環境なので、春先になると鼻炎やアトピー性皮膚炎などの症状に悩まされるという方は、
今から「辛」の食材を意識して摂ると良いでしょう。
今月の薬膳は、旬真っ盛りの「辛」の大根やカブのオンパレード。大根1本で幾通りもの薬膳が楽しめますよ。

大根と豚バラの煮もの

大根と豚バラの煮もの

「鹹」と「甘」、両方の性格を持つ豚肉は冬におすすめのお肉。

材料

大根、豚バラ、出し(昆布、イリコ)、きび砂糖、薄口醤油 それぞれ適宜

作り方

①大根は皮をむいて、食べやすい大きさに切る。皮は「大根と人参の炒めもの」に使うので取っておく。
②出しに「①」と豚バラを入れて、大根が柔らかくなるまで煮る。
③きび砂糖、薄口醬油で味付けをする。

カブの豆乳スープ

カブの豆乳スープ

美肌&筋肉をつくるプロテインがたっぶり!

材料

小さめのカブ、豆乳、春菊、昆布出し(出しを取った後の昆布は「大根と人参の炒めもの」に使うので取っておく)、スパイス、海塩 それぞれ適宜

作り方

①カブは良く洗って、昆布出しで煮込む。
②串をさしてスッと通ったら、春菊を入れて豆乳を加える。
③スパイスと海塩で味付けをする。

大根の『ごはん泥棒』

大根の『ごはん泥棒』

材料も作り方もシンプルなのに美味しい!

材料

大根、生姜、小ネギ、ごま油、薄口醬油 それぞれ適宜

作り方

①大根は皮をむいて薄切りにする。皮は「大根と人参の炒めもの」に使うので取っておく。
②生姜は細切り、小ネギは、小口切りにする。
③「①」と生姜をごま油で炒めて、薄口醬油で味付けをする。
④小ネギを散らして出来上がり。

大根と人参の炒めもの

大根と人参の炒めもの

「辛」の大根は捨てるところなしのスグレモノ野菜。

材料

大根の皮(「大根と豚バラの煮もの」「大根の『ごはん泥棒』」で出た皮を使う)、人参、昆布(「カブの豆乳スープ」で出しを取った昆布を使う)、米油、きび砂糖、薄口醬油 それぞれ適宜

作り方

①大根の皮、人参、昆布は細切りにする。
②「①」を米油で炒めて、きび砂糖、薄口醬油で味付けをする。

大根とリンゴの酢のもの

大根とリンゴの酢のもの

寒いと敬遠しがちな「酸」のものも意識して食卓に。

材料

大根、リンゴ、蜂蜜、梅干し(酢の代わりに使用)、海塩 それぞれ適宜

作り方

①大根とリンゴは薄くスライスする。
②梅干しは種をはずして、実をほぐしておく。
③「①」に軽く海塩を降ってしんなりさせる。
④「③」の水分を軽くしぼって、ほぐした梅肉と蜂蜜をあえる。

薬膳コラム

分量表示の「適宜」には理由が…。
郷田さんのレシピには「適宜」という分量表示が多いと感じませんか?実は、これには理由があるそうです。表示分量に頼りがちになると、自分なりの味の工夫がなくなってしまいがちです。「適宜」は自分で味のイメージを膨らませ、考える機会をつくるためなのです。 塩分や糖質など食事制限がある方も、たし算や引き算をしながら、味のコントロールをしてくださいね。
郷田 美紀子
郷田 美紀子
■プロフィール
ごうだ みきこ/1948年生まれ。 家業である「郷田薬局」の管理薬剤師、百姓。薬局の隣に設けた「薬膳茶房オーガニックごうだ」で病気を薬だけではなく、「五味調和」の考え方を用いた食事で治すことを実践。2009年には宿泊施設「綾ビオスヴィレッジごうだ」をオープン。