花菜

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今月の薬膳

優しい春の陽射しが大気を暖めて、生命が一斉に躍動する季節が訪れました。
気候的には過ごしやすくなりますが、体内は冬の間に溜まった冷えが残った状態。
心身ともに元気をくれる薬膳で、ハツラツとした春をお過ごしください。

 啓蟄から春分へと進むにつれ、だんだんと気温が上がり体もほっとしているように感じます。
しかし、冬の寒さで乱れがちになる免疫力やホルモンバランスを一生懸命守ってきた「腎」にとってはまだ静養の時。
「腎」が痛むと相克にある「心」を痛めてしまうので「苦」材で「心」の働きを助ける必要があります。
昔から春は、苦材を食べると良いといわれてきました。
フキノトウや菜の花、竹の子、ヨモギ、クレソンなどの苦材には、「心」を助ける働きがあることを昔の人は知っていたのでしょう。
春の薬膳で、もう一つ忘れてはならないのが「肝」の働きに関係のある「酸」の食べ物です。
体の機能が活発になると頑張り出すのが「肝」です。冬場はそうでもないのに、
暖かくなってくると酢のものなど「酸」のものを摂りたくなるのは「肝」が関係しているためです。
「木の芽時」といわれる時期に心のバランスが乱れたり、体調が揺らいだりするのも「肝」が大きく関係しています。

若草の天ぷら

若草の天ぷら

野の小径に咲く、春の苦材を天ぷらでいただく。

材料

フキノトウ、ヨモギ、アシタバ、ミツバ、小麦粉、揚げ油 それぞれ適宜

作り方

①小麦粉を水で溶いて衣をつくる。
②フキノトウ、ヨモギ、アシタバ、ミツバを衣にくぐらせて、揚げ油で揚げる。
③カラッと揚がったら出来上がり。

赤カブの酢のもの

赤カブの酢のもの

酢のものなど「酸」の薬膳が「肝」をサポート。

材料

赤カブ、キビ砂糖、きび酢、海塩 それぞれ適宜

作り方

①赤かぶはスライスして薄く海塩を振り数分おいて水分を切る。
②「①」にきび砂糖少々と、きび酢を加える。

具だくさんの味噌汁

具だくさんの味噌汁

「鹹」のお出しに季節の野菜をたっぷり。

材料

イリコ、昆布、椎茸、大根、大根の葉、人参、里芋、ゴボウ、味噌 それぞれ適宜

作り方

①里芋は皮をむき、食べやすい大きさに切って茹でこぼしておく。
②椎茸、大根、大根の葉、人参、ゴボウは食べやすい大きさに切る。
③水にイリコと昆布、大根の葉以外の具材を入れて煮る。
④具材が煮えたら弱火にして味噌を溶き、最後に大根の葉を加えて火を止める。

春のお団子3種

春のお団子3種

簡単につくれる苺とヨモギの薬膳団子。

材料

苺、ヨモギ、きび砂糖、白玉粉、海塩、きな粉、粒あん それぞれ適宜

作り方

〈草餅〉ヨモギは茹でて、ミキサーでつぶす。白玉粉150ccに水120ccを注ぎ、つぶしたヨモギと海塩をひとつまみ加える。耳たぶぐらいの硬さを目安に団子にする。1種類はきな粉をまぶし、もう1種類は粒あんをトッピングする。
〈苺のお団子〉苺はミキサーでつぶす。白玉粉150ccに水120ccを注ぎ、つぶした苺ときび砂糖を加える。耳たぶぐらいの硬さを目安に団子にする。写真は丸い団子と扁平の円柱形団子。

薬膳コラム

分量表示の「適宜」には理由が…。
郷田さんのレシピには「適宜」という分量表示が多いと感じませんか?実は、これには理由があるそうです。表示分量に頼りがちになると、自分なりの味の工夫がなくなってしまいがちです。「適宜」は自分で味のイメージを膨らませ、考える機会をつくるためなのです。 塩分や糖質など食事制限がある方も、たし算や引き算をしながら、味のコントロールをしてくださいね。
郷田 美紀子
郷田 美紀子
■プロフィール
ごうだ みきこ/1948年生まれ。 家業である「郷田薬局」の管理薬剤師、百姓。薬局の隣に設けた「薬膳茶房オーガニックごうだ」で病気を薬だけではなく、「五味調和」の考え方を用いた食事で治すことを実践。2009年には宿泊施設「綾ビオスヴィレッジごうだ」をオープン。