花菜

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今月の薬膳

若々しい新緑が陽の光に輝いて、初夏の訪れを感じさせます。
ちょっと汗ばむぐらいの陽気が続き、過ごしやすい毎日が続きますが来月はもう梅雨。
この時期は、「肝」を労ると同時に、体に溜まる湿気も意識しましょう。

照葉樹林を渡る風に、ほのかな夏の匂いを感じます。濃い緑を湛える綾の照葉樹林にも、
ポコッポコッとブロッコリーが飛び出したような新緑があちこちに。今年も、美しい季節が訪れました。
先月もお話ししましたが、うっすらと汗ばむ日もあるこの季節は、思いのほか肝臓に負担がかかっています。
肝臓の働きに関係している柑橘類や梅など「酸」の食べ物は、梅干しや酢のもので意識的に取りたいものです。
この時期、大切なことがもう一つ。初夏の陽射しに心身ともに軽やかに感じますが、来月はもう梅雨。
夏に向けての体をつくる前に、まず梅雨を乗り切る体づくりが大切です。
湿度が高くなる梅雨は、体が水を溜め込みやすくなり「水毒」が心配されます。
水を引きやすい甘いものや油は極力控え、代わりに水を調整する腎臓を司る「鹹」を積極的に。
昆布、イリコなどでしっかり出しをとった、具沢山のお味噌汁がおすすめです。

アサリ貝のお味噌汁

アサリ貝のお味噌汁

お出しとアサリ貝、ダブルの「鹹」で肝臓をしっかりケア。

材料

昆布、イリコ、干し椎茸、アサリ貝、新ジャガイモ、ステックブロッコリー、味噌 それぞれ適宜

作り方

①新ジャガイモは、皮をむいて食べやすい大きさに切っておく。
②スティクブロッコリーは、長さを整えて軽くゆがいておく。
③水に昆布、イリコ、干し椎茸などの出しと「①」を入れ、新ジャガイモが煮えるまで炊く。
④アサリ貝を入れて、口が開いたら火を弱め味噌を溶く。

旬野菜の天ぷら

旬野菜の天ぷら

いただくときは、油の過剰摂取を抑えてくれるきび酢と一緒に。

材料

新玉ネギ、スナップエンドウ、グリーンピース、片栗粉、小麦粉、揚げ油、きび酢 それぞれ適宜

作り方

①スナップエンドウと新玉ネギはスライスしておく。グリーンピースはさやを外して、洗っておく。薄皮がついてる場合は皮をむく。
②ボウルに小麦粉5:片栗粉2の割合で入れて、水を加えて衣を作る。
③「①」を「②」に入れて油で揚げる。
④きび酢に漬けながらいただく。

ふっくらピースごはん

ふっくらピースごはん

初夏の恵み、グリーンピースの旨味をご飯でいただく。

材料

グリーンピース、白米、海塩、酒 それぞれ適宜

作り方

①グリーンピースはさやを外して、洗っておく。薄皮がついてる場合は皮をむく。
②炊飯器に洗った米を入れて水を注ぎ、「①」と海塩、酒を入れて炊く。最初からグリーンピースを入れて炊くと、豆の旨味が米に染みて美味しいが、豆の色味が茶色っぽくなる。写真は、きれいな緑色の豆を加えるため、豆だけ別に軽く茹でたものを混ぜている。

日向夏の酢のもの

日向夏の酢のもの

まるでパフェのような華やかな酢のもの!

材料

日向夏、トマト、グリーンピース、イチゴ、甘酒、純米酢 それぞれ適宜

作り方

①日向夏は、皮が酢のものの器になるよう意識してむく。果肉は具材用と絞り汁用に分けておく。
②トマト、イチゴは食べやすい大きさに切っておく。グリーンピースは、さやを外して取り出した豆をゆがいておく。
③皿の上に、日向夏の皮で器をつくる。
④日向夏の器の中に、日向夏の果肉と「②」を盛りつける。
⑤日向夏の果汁を絞り込み、純米酢で整えて甘酒をかけて仕上げる。

薬膳コラム

分量表示の「適宜」には理由が…。
郷田さんのレシピには「適宜」という分量表示が多いと感じませんか?実は、これには理由があるそうです。表示分量に頼りがちになると、自分なりの味の工夫がなくなってしまいがちです。「適宜」は自分で味のイメージを膨らませ、考える機会をつくるためなのです。 塩分や糖質など食事制限がある方も、たし算や引き算をしながら、味のコントロールをしてくださいね。
郷田 美紀子
郷田 美紀子
■プロフィール
ごうだ みきこ/1948年生まれ。 家業である「郷田薬局」の管理薬剤師、百姓。薬局の隣に設けた「薬膳茶房オーガニックごうだ」で病気を薬だけではなく、「五味調和」の考え方を用いた食事で治すことを実践。2009年には宿泊施設「綾ビオスヴィレッジごうだ」をオープン。