花菜

マイページ

今月の薬膳

暦の上では秋ですが、厳しい残暑が続いていますね。
一口に秋といっても、9月と10月では気温も体のコンディションも違います。
今回は、オーガニック郷田の秋の薬膳ランチを通して、
バランスのとれた五味調和を教えていただきました。

 9月は夏の終わりであり、秋の始まりです。季節の変わり目あたりを「土用」といい、
胃の働きに関係している「甘」にあたります。
夏の暑さからアイスコーヒーやアイスクリームなど、
冷たくて甘いものばかり取り続けたことによる体の「冷え」が蓄積されていくと胃腸に支障をきたし、
冬にかけて風邪などのトラブルの原因となってしまいます。
 冷えには、冷たい飲み物やクーラーなどによるものと肉やお菓子など「甘」の取り過ぎから血が濁り、
悪血となって冷えを招く場合の二通りがあります。夏場は、体の熱感を取るために、
どうしてもアイスコーヒーやビールなど「苦」材を取り過ぎてしまいます。
「苦」の相克は大腸の働きに関係する「辛」であることから、「苦」材の取り過ぎは大腸の働きを弱めてしまうのです。
いずれの冷えも、生姜やニンニク、スパイスなど「辛」の食材を薬膳に取り入れて冷えを発散させ、
血流を良くすることで胃腸の働きを高めるように心がけましょう。
 さらに季節が進み、朝夕に少し肌寒さを感じる10月頃になると肺や喉、
気管支、大腸、皮膚などが痛みやすくなります。
これらのトラブルもまた、冷えが大きく関係しているので、「辛」の食材で体を温めて寒さへの準備をしましょう。
「食欲の秋」といわれる程、秋はおいしいものがいっぱい。
旬を迎える梨や柿などの果実も楽しみの一つですが、
意外にもこの果実が冷えの原因となっていることも珍しくありません。
梨や柿は体の中の炎症や発熱による熱症状を取る「清熱(せいねつ)」の働きがあります。
量と食する時間に気をつけながら、
「辛」の香辛料や「鹹」の塩を振って「酸」のものと一緒にいただくと、より冷えの予防になります。

オーガニックごうだの秋の薬膳ランチ

夏の疲れが出やすいこの時期、15種類の薬膳で体を整える。

1.大根の酢のもの
綾産ドラゴンフルーツで色付けした「酸」の一品。
2.ヒジキのサラダ
「鹹」のヒジキに「辛」の玉ネギ、「甘」と「苦」両方の性格を持つピーマン3種を和える。味付けは出汁、きび酢、醤油。
3.プチトマトと甘酢玉ネギ
「甘」「酸」「辛」の取り合わせ。
4.ゴーヤと玉ネギの甘酢和え
「酸」「苦」「甘」「辛」をバランス良く。
5.カボチャの南蛮
旬のカボチャ「甘」を南蛮風に。作り方は「Recipe2」に。
6.高野豆腐のふくめ煮
高野豆腐と人参「甘」、玉ネギ「辛」、青菜「苦」を含め煮に。
7.酢ゴボウと酢人参
「苦」のゴボウ、「甘」の人参、「酸」のきび酢の取り合わせ。
8.キュウリと生姜の酢のもの
「甘」のキュウリと「辛」の生姜を「酸」の酢のものに。
9.玉ネギのカレー風味
冷えを飛ばす「辛」の薬膳。
10.キノコの醤油煮
旬を迎えた「甘」のキノコを「鹹」の醤油で煮る。
11.桜色おから
「甘」のおからを綾産のドラゴンフルーツで色付け。
12.秋ナスと生姜の香味炒め
「甘」の秋ナスは「辛」の生姜、玉ネギ、ニンニクと一緒に。作り方は「Recipe3」に。
13.蒸したサツマ芋
冬に向けて根菜で滋養を。
14.ニラ入り出し巻き卵
「甘」の卵と「辛」のニラの取り合わせ。
15.旬野菜のかき揚げ
人参やナス、ニラなど多彩な野菜をかき揚げで。
カボチャの南蛮

カボチャの南蛮

カボチャをさっぱり南蛮酢でいただく。

材料

カボチャ、赤パプリカ、揚げ油、きび酢、きび砂糖、薄口醤油 それぞれ適宜

作り方

①カボチャと赤パプリカは食べやすい大きさに切る。
②揚げ油で「①」を素揚げする。
③きび酢、きび砂糖、薄口醤油を合わせて南蛮酢を作り、「②」をサッとつける。

秋ナスと生姜の香味炒め

秋ナスと生姜の香味炒め

今が旬の秋ナス「甘」を「辛」「鹹」の食材と一緒に。

材料

秋ナス、生姜、玉ネギ、ニンニク、昆布出汁、醤油、油 それぞれ適宜

作り方

①秋ナスは食べやすい大きさに切る。
②生姜、玉ネギ、ニンニクをみじん切りにする。
③昆布出汁と醤油を合わせておく。
④フライパンに油を敷いて弱火で「②」を炒め、香りが立ってきたら「①」を加えて炒める。
⑤秋ナスがしんなりしてきたら「③」を加えて味付けをする。

薬膳コラム

分量表示の「適宜」には理由が…。
郷田さんのレシピには「適宜」という分量表示が多いと感じませんか?実は、これには理由があるそうです。表示分量に頼りがちになると、自分なりの味の工夫がなくなってしまいがちです。「適宜」は自分で味のイメージを膨らませ、考える機会をつくるためなのです。 塩分や糖質など食事制限がある方も、たし算や引き算をしながら、味のコントロールをしてくださいね。
郷田 美紀子
郷田 美紀子
■プロフィール
ごうだ みきこ/1948年生まれ。 家業である「郷田薬局」の管理薬剤師、百姓。薬局の隣に設けた「薬膳茶房オーガニックごうだ」で病気を薬だけではなく、「五味調和」の考え方を用いた食事で治すことを実践。2009年には宿泊施設「綾ビオスヴィレッジごうだ」をオープン。